2024年11月3日日曜日

久々に三人集い「くどき上手純米大吟醸禁じ手 磨き一割一分」(後編)

いつも当ブログをご覧頂きまして、ありがとうございます。

10月中旬に三八城公民館の文化祭的催しに行って参りました。なぜかというと、陶芸教室で作成した作品が、堂々飾られることになったからです。コロナが落ち着いたため、三年ぶりの開催との事で、公民館は賑わっておりました。陶芸教室の生徒さんもたくさん増えればいいのですが。

パンフレット  陶芸教室の作品

さて、ここ何年か以前勤めていた会社の社員の人たちと、一緒にお酒を呑む機会に恵まれ、三人で美味しい日本酒を頂いております。(前編と同じ文面) そして、日本酒担当のF君が、気合を入れて準備してくれた『而今特別純米にごり酒生(一升壜)を呑んだ後の後編となります。

而今』の後にF君が気合を込めて次に開栓したのは、山形県鶴岡市で創業が明治8年の亀の井酒造が醸すくどき上手 純米大吟醸禁じ手 磨き一割一分で、驚愕の一割一分精米のお酒です。因みに昨年の8月には渋谷のお蕎麦屋さんで『くどき上手純米大吟醸穀潰し』という22%精米のお酒を頂きました。22%まで磨くのは穀潰しだという酒名の由来でしたが、さすがにそれ以上の、磨き一割一分なんて聞いた事もありません。1tのお米のうち110㎏だけを使い、890㎏はせんべい屋さんに行くんですよ。

日本酒業界には製造に関する禁じ手があり、「1,蒸し米蒸気(蒸気で米を蒸すと外硬内軟の蒸米ができやすい)、2.醪を櫂で潰す(櫂で潰すな麹で溶かせが正統)、3.精米歩合は35%以下にするな(35%以下は無意味で無駄)」の3番目の禁じ手に違反したお酒となります。

磨き一割一分  裏書をどうぞき

酒色はほぼ透明で  三人で懇親

くどき上手 純米大吟醸禁じ手 磨き一割一分』の酒米は、羽黒町産美山錦をダイヤモンドロールという精米機で9日間も掛けて11%まで小さく磨いて使っています。酵母は協会10号を変異させたM310酵母で、リンゴ系の香りとなるカプロン酸エチルをより多く生成する酵母です。仕込み水は霊峰月山の伏流水を使って醸し、日本酒度-5.0、酸度1.2ALC1617度で1回火入れの生詰めです。

蛇の目にお酒を注ぐと酒色はほぼ透明。香りは意外に微かで、リンゴのようにフルーティな吟醸香か。口に含むとスッキリとした口当たりで、上品な甘さもありフルーティ。程好く酸味と辛さがあり、一割一分なので苦味などの雑味はありません。甘さ・酸・辛さのバランスが絶妙な上品な味わいでした。通常は11%まで磨くとお酒の単価が万円単位までハネ上がるのに、五千円程でコスパを大切にしているところにも感動を覚えました。

最後の3本目には、『獺祭純米大吟醸磨き三割九分槽場汲み無濾過生(四合壜)が待っておりました。一般的な『獺祭純米大吟醸磨き三割九分』は頂いたことがありますが、三割九分の槽場汲み無濾過生酒とは、存じ上げませんでした。

このお酒を醸す創業昭和23年の旭酒造は山口県岩国市周東町獺越にあり、酒名はこの地名から「獺」(かわうそ)1字使い、その獺が魚を獲ると岩に並べる習性があり、その様子がお祭りの屋台の様だという事から獺祭の言葉が誕生しました。その後、明治の日本文学に革命を起こした正岡子規が、自身を獺祭書屋主人と号していたことにあやかり、日本酒造りに革命を起こし、より優れた酒造りができる様に『獺祭』と名付けたそうです。

酔うため、売るための酒では無く、味わう酒を求めて酒造りを行っており、一時は倒産寸前で杜氏も逃げ出したほどでした。それを機会に杜氏性から社員制に酒造りをシフトし、徹底した機械化そして数値に基づいた方法で品質・工程管理する酒造りを行っており、社員も今では何と200名もいて、日本一の社員数となっています。

獺祭三割九分  無濾過の生酒



裏書をどうぞき 酒色は薄く濁り

獺祭純米大吟醸磨き三割九分槽場汲み無濾過生』の酒米は酒造好適米の山田錦で、39%まで磨いて使い、地層を通り抜けて滾々と湧き出る地下水を、井戸から汲み上げて醸しています。酵母やスペックは非公開ですが、ALC16%のお酒です。

開栓し蛇の目に注いだ途端に、辺りは華やかでフルーティな吟醸香が漂います。酒色は、撹拌していないので薄っすらと濁っています。期待とともに口に含むと、無濾過生のピチピチ感は無いものの、無濾過特有の旨味が口いっぱいに広がり、軽やかな酸が旨味を助長しています。ジューシーでピリ感が無く、辛さや苦味の無い、さすが『獺祭』と思えた味わいのお酒でした。

 夕方18時から開始した懇親会も、予定通り21時でお開きとなりました。二人は、お腹いっぱいになったと言っておりましたが、それは料理が旨かったとは同一ではありません。修行を重ねて、もっともっと美味しい肴を準備したいと向上心に燃えています。♪

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