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先月、福島県に所用で行って参りました。懇意にさせて頂いている五所川原のM氏が、定年退職後に選んだ道は、未だ復興途上の福島の復興のお手伝いという、誰もができることでは無い、ある意味イバラの道を選びました。本当に頭が下がります。そんなM氏を慰労するためにと、11月初旬に彼の元へ伺いました。因みに「日本酒パラダイス」では、福島行きを三部作としてお送りし、今回はその一作目となります。
東北新幹線に乗り仙台駅でJR常磐線に乗り換え、原ノ町で再度乗り換え、着いた場所は「浪江駅」。M氏は自家用車で迎えて下さり、私と「道の駅なみえ」に向かいました。この辺りも、まだ地震や津波、原発事故の傷跡が多く残っており、住めなくなった住宅や店舗、更地になった土地等が数多くあります。居住していた人たちの胸中を想うと、遣り切れない気持ちになりました。
道々、震災の話をしながら「道の駅なみえ」に到着です。M氏の先導で真新しい建物の中に入ると、鈴木酒造店の大漁旗が目に入りました。
大漁旗が M氏と二人で
さて、私は令和3年4月に退職しましたが、その時に頂戴したお酒がありました。『壽』とデッカイ文字のラベルが、縁起が良さそうで購入の決め手だったと思います。福島県浪江町にある鈴木酒造店の『磐城壽』でしたが、この酒蔵は令和2年に完成した「道の駅なみえ」に併設されており、翌年の令和3年にオープンにこぎつけています。
元々福島県浪江町にあった酒蔵でしたが、東日本大震災の津波により、建物、設備など全てが跡形も無く消えてしまいました。失意の五代目蔵元でしたが、震災に負けることなく奮闘します。先ず、山形県長井市で昭和初期に建てられ、その後廃業した酒蔵跡を借金までして買い取り、山形の米と水で酒造りを始めました。それが現在の「長井蔵」です。
その後、浪江の田圃の除染による土壌改良も進み、酒米が作れるようになったため、浪江で酒造りを復活させたいと、「道の駅なみえ」内に酒蔵の建設を申請し承認されます。令和2年秋に酒米の収穫、醸造、翌年3月に出荷と云う目標を立て、ついに「浪江蔵」が完成しました。蔵主の意地と根性と努力が実を結んだのです。素晴らしい!。
自販機1 自販機2
味わう私 う~ん美味しい!
道の駅内の酒蔵には試飲の自動販売機があり、M氏は私のためにとこちらにお誘いしたそうです。「据え膳食わぬはナントカ」とコインを投入。1勺入りのぐい呑みで5杯まで頂戴できるそうで、明示されたスペックを一心不乱に検討します。そして選んだお酒は、「自販機2」の一番右にある『磐城壽 ゆい 桜梅桃李 赤色酵母仕込みにごり』です。酒名にある「桜梅桃李」は、それぞれの花はそれぞれが美しく、転じてその人にはその人の良いところがあり、決して他の人と比べることなく、自分らしさを大切にという意味があります。
酒米は食用米の浪江産「コシヒカリ」を65%まで磨いた純米酒で、酵母は酒名の通り、お酒が赤色となって、且つ、イチゴのように甘酸っぱい味わいになる赤色酵母を使っています。仕込み水は、阿武隈山系を水源とする高瀬川の水を汲み上げて使い醸した、ALC14度の無濾過生原酒です。
1勺(せき)入りのぐい呑みに注ぐと酒色はピンク色で、香りは心地よい酸の香りが。口に含むとフルーティで、甘酸っぱいスモモジュース。後味もジューシーで日本酒の枠を突破しています。日本酒度-20、酸度2.0くらいでしょうか。これで無濾過生原酒っていうんだから、もう凄いの一言でした。
昼から『磐城壽』を呑んで、いい心持ちで「道の駅なみえ」を後にします。そして、震災後13年を経た福島浜通りの状況を見て、原発のあり方や共存の是非など、心に湧き上がる物を感じました。次回の2/3へ続きます。♪
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