2024年3月24日日曜日

入魂の酒『黒龍火いら寿』でH君F君と憩う

いつも当ブログをご覧頂きまして、ありがとうございます。

3月も中旬となり、気温が10度を超える日もありますが、先日夜間作業があり寒さに震えました。氷点下にはならなかったものの小雨がパラつき、ホッカイロをしっかり準備したおかげで何とか耐えることができました。でも久々の夜間作業には感慨深いものもありました。

さて私は現在、一人親方で個人会社的なものを営んでおりますが、仕事を頂戴している元同僚たちと一緒にお酒を頂いており、かれこれ34回目くらいでしょうか。今回もF君が厳選した垂涎の日本酒で、楽しいお酒の会となりました。

腕に撚りをかけた今回のメニューは、「鶏の黒酢さっぱり煮」「サーモンユッケ」「ごぼうと豚肉の甘辛煮」「レンコンの甘酢炒め」「ナスの煮びたし」「お刺身」「焼き魚」等で、低カロリー料理に挑戦しましたが、二人には満足して頂けたでしょうか。

料理はこんな感じ  黒龍を頂く

持ち込んでくれたお酒は、どれでも乾杯酒になるようなものばかりで、迷いに迷って福井県吉田郡永平寺町の黒龍酒造が醸す『黒龍火いら寿(ひいらず)』で乾杯です。創業は1804年で、創業者は初代蔵元の石田屋仁左衛門。現天皇陛下のお気に入りのお酒が黒龍石田屋と云われ、それが下々に伝わったために品薄で、何年も先まで予約が取れないと云われた時期もありました。

また、黒龍酒造の七代目はフランスに渡ってワインを学び、帰国後にワイン熟成を日本酒に応用した酒造りができないかと、試行錯誤した研究熱心な人でした。それが1975年に全国に先駆けて高精米酒を大吟醸酒と表現し、少量で高品質のお酒、いわゆる高級酒となっています。今回の『黒龍火いら寿』は純米大吟醸で、生酒の最高峰のお酒となっており、前述の『黒龍石田屋』『黒龍二左衛門』『黒龍大吟醸 龍』など錚々たるお酒ばかりの「黒龍極みの酒」の中の1本です。酒名の由来は明治初期の生酒に使用していた「火いら寿」の版木から名付けられたそうです。

黒龍と化粧箱  火いら寿



裏書をどうぞ  酒色は透明

黒龍火いら寿』の酒米は、兵庫県東条産特A山田錦を35%まで削った大吟醸で、酵母は蔵に古くから棲み付く蔵内酵母。仕込み水は霊峰白山山系からの軟水の九頭竜川伏流水を使い、日本酒度+3.5ALC16%に仕上げた、純米大吟醸の生酒です。蛇の目に注ぐと酒色は透明。香りは仄かですが、カプロン酸エチルが効いたリンゴの爽やかでフルーティな香り。口に含むと甘さは程々で舌にジワ感も無いスッキリとした味わい。甘さの後にくる酸は旨さを感じる酸味で、キレも良くバランスの良い味わいでした。『黒龍火いら寿』はオンラインの抽選会にも登場していますが、なかなか当たらないらしく、それだけ入荷量も極僅かの希少なお酒です。

十四代と化粧箱  大極上生




裏書をどうぞ  酒色は透明

美味しい美味しいと四合壜の『黒龍火いら寿』は、アッという間に無くなってしまい、冷蔵庫から次のチョイスが登場です。こちらも超高級ブランド酒の『十四代播州山田錦大極上生』です。「大極上」って・・・。このお酒は、山形県村山市の創業が江戸初期の元和元年(1615)の高木酒造が醸しており、平成6年に十五代目の杜氏の高木顕統(あきつな)さんが、初めて造って命名した十四代は、当時の主流だった『越乃寒梅』などの端麗辛口酒を押し退けて、フルーティなお酒のブームを巻き起こしました。そして今では、入手困難酒の筆頭を走っています。

酒名の「大極上」とは極めて上等と云う意味で、麹米、掛米とも兵庫県特A地区産の大極上「山田錦」を、35%と云う大極上の精米歩合で磨いて造っています。仕込み水には桜清水と呼ばれる、出羽山系の葉山の伏流水で醸しており、スペックは残念ながら非公開です。壜の裏書には「鑑評会用BY1本目の大吟醸槽垂れ酒」と明記されており、やはり大極上のお酒なのでしょう。

蛇の目に注ぐと酒色は透明で、香りは黒龍』と同じようなカプロン酸エチルが効いた、リンゴの爽やかでフルーティな香りが。口に含むと程良い甘さと爽やかな酸。雑味を全く感じない透明感に満ちた、バランスの良い大極上の味わいでしたが、『黒龍』と同じような味わいにビックリ。

最後のシメは一升壜の『而今純米吟醸酒未来無濾過生』を戴きました。少し酔ってきた~。木屋正酒造は三重県名張市の周りを山に囲まれた伊賀盆地にあり、創業は1818(文政元年)で創業時の主力酒は『高砂』でした。六代目が2005年に自ら醸した而今には「ただ、今、この一瞬を、懸命に生き抜く」という意味が込められています。こちらも前述の2本と同様にプレミア酒で、なかなか手に入らないお酒です。

酒米は「酒未来」で、そのルーツは高木酒造の高木辰五郎氏。彼は山酒4号と美山錦を交配させ18年もの歳月を掛けて「酒未来」作り出しました。名前の由来は、日本酒の未来が永遠に輝くようにとの願いが込められています。また高木氏は、自社だけで「酒未来」を独り占めせずに、他の酒造りの仲間たちに「酒未来でお酒を造ってみないか」と惜しげもなく分け与えました。今ではいろいろな酒蔵で「酒未来」を使ったお酒が誕生し、私たちを楽しませてくれています。旨いんだよね。実際。

酒米以外のスペックは非公開ですが、上品な吟醸香を醸す9号系酵母を使っていると考えられ、名張川の湧水(中軟水)で仕込んだ、日本酒度±0,酸度1.6、アルコール度数16.5%の無濾過の生酒です。

而今無濾過生  裏書をどうぞ







酒色は透明

開栓時には醗酵ガスが抜けてボンと音が。蛇の目に注ぐと透明っぽいのですが、薄っすらと滓が見えるようにも感じます。香りはヤバイことに1本目、2本目と同様の、リンゴの爽やかでフルーティな吟醸香です。そして香量も多く期待が高まります。口に含むと口当たりは仄かにガス感があり、コクのある甘さは上質。その後、穏やかな酸味と微かな渋味、程好い辛さがバランスよく奇麗な酒質、まるで『十四代』のような『而今』でした。

 H君もF君も、私の料理をほめてくれるため、なんとかも木に登ると同じでゴッツリして料理を作っています。彼らが帰った後には、会話の余韻を楽しみながらお皿やグラスを洗っています。次は夏ごろでしょうか、楽しみにしているのです。♪

(。・_・。)ノ