2023年12月10日日曜日

入手困難酒『信州亀齢ひとごこち純米吟醸無濾過生原酒』

いつも当ブログをご覧頂きまして、ありがとうございます。

年に何回か私が仕事でお世話になっている方々を、私の自宅にお招きして酒宴を催しております。日本酒専用冷蔵庫を持つF君が、自身のチョイスでお酒を持ち込んでくれるのですが、普通の日本酒ではありません。今回も自信満々のお酒を持って、F君、H君が我が家を訪ねてくれました。

毎回料理担当は私で、今回は魚祭りと称し「エビとキノコのオイスターソース炒め」「魚肉ソーセージのコロコロ焼き」「さば缶みそニラもやし」「えんがわのユッケ」、そして購入した「焼き魚」「お刺身」、またお肉料理も一品「豚肉としめじの味噌チーズ炒め」を準備しました。減量中のF君のためにカロリー控えめの料理としています。

今回F君が自信満々で持ち込んでくれたお酒は『田酒NEWYEARボトル2023純米吟醸生酒()(四合瓶)みむろ杉木桶菩提酛(四合瓶)、『信州亀齢ひとごこち純米吟醸無濾過生原酒(一升瓶)3本。相変わらずの垂涎の品揃えは、さすが日本酒通で私を唸らせるには十分過ぎます。

さてF君が乾杯酒に選んだのは、青森県青森市の西田酒造店が醸す田酒NEWYEARボトル2023純米吟醸生酒()です。『田酒』は日本酒ランキングでは常に上位にあり、プレミアが付いている人気酒でもあります。創業は明治11年で、創業時からの主力銘柄は『喜久泉』。昭和45年頃からウイスキーやビールなどの台頭で、日本酒の消費量が低下し、各酒蔵の存続が危うい状況になりますが、当時の蔵主はこの危機を脱するために、アル添では無く純米酒で「本物の日本酒」を造ろうと決起し、4年の歳月を注いで『田酒』を誕生させました。転機は昭和56年、雑誌【特選街】で企画された「うまい酒コンテスト」で、『田酒』が第一位となり全国へその名が知れ渡り、一躍人気銘柄へと駆け上がりました。『田酒』の酒名は「大切な米の獲れる大切な田んぼ」を尊重して命名されています。

田酒干支ラベル  裏書をどうぞ

酒色は透明で   今回の料理

田酒NEWYEARボトル2023純米吟醸生酒()』の酒米は青森県が誇る酒造好適米「華想い」を50%まで磨いて使い、八甲田山系の伏流水(軟水)で醸した、ALC16度、日本酒度±0、酸度1.5のお酒です。

開栓するとシュッとガスが抜ける音がしました。蛇の目に注ぐと酒色は透明で、香りは仄かですがフルーティな吟醸香。口に含むと甘さ控えめのフルーティな第一印象。フレッシュで爽快な生酒の味わいに、くどさの無い酸味がバランスよく旨味となっています。すきっ腹に堪えましたがお代わりして頂きました。

四合瓶の乾杯酒はアッという間に空になり、F君チョイスの2本目のお酒が冷蔵庫より登場します。そのお酒は立派な黒い箱に入ったみむろ杉木桶菩提酛でした。

このお酒は、奈良県桜井市の今西酒造が醸しており、創業は万治3(1660)創業で、名前の由来は地元の三輪山を古来より三諸山とも呼んでおり、その山の杉の木には神が宿るとされたことから『みむろ杉』としています。またこのお酒は日本最古の清酒醸造法で醸されており、生酛系酒母の原形が「菩提酛」である事から、再現して仕込んだこのお酒に『みむろ杉木桶菩提酛』と命名しました。そして全てを香りの良い「吉野杉」の木桶で醸すことで、独特の味わいを生んでいます。ラベルのテーマは大神神社の「神仏習合」、形状は蓮の葉。中のデザインは白蛇と兎、そしてササユリです。

酒米は酒米の絶対王者「山田錦」を使い、蔵内の井戸より湧き上がる三輪山の伏流水で醸し、ALC14度、日本酒度+3、酸度1.7のお酒に仕上げました。

みむろ杉の箱  ラベルは蓮の葉




裏書をどうぞ  酒色は透明

蛇の目に注ぐと酒色は透明。香りは仄かに乳酸系で、口に含むと仄かに杉樽の味わいが。また、舌にピリっと感じて、呑み込むと鼻腔から木の香りが抜けるようでした。呑み込むと辛味でキレますが、苦味はありません。そうそう呑んだ事のない複雑な味わいでしたが、日本最古の酒母はこんな味だったんだぁと感慨に浸った次第です。

さて、シメの3本目は、ここ数年で一気に入手困難酒となってしまった、『信州亀齢ひとごこち純米吟醸無濾過生原酒』です。このお酒は、長野県上田市で創業が江戸初期の寛文5(1665)の岡崎酒造が醸しており、酒名は「鶴は千年、亀は万年」と蔵と呑む人たちの長寿を願って命名されています。しかし、先代のお酒は売れず、蔵の存亡の危機が迫っていました。三人娘のうちの三女が蔵を継ぐべく東京農大で醸造学を学び、またいろんな杜氏からも学ぶ事で、自身が美味しいと思えるお酒を造り始めました。そのお酒が口コミで徐々に人気が出始め、今では入手困難酒というシンデレラストーリーです。

信州亀齢  首ラベル

シンプルラベル 裏書をどうぞ

酒色は透明 4回撮り直して

酒米はラベルの通り酒造好適米「ひとごこち」を55%に磨いて使っており、「美山錦」より大粒で心白の発現が良く、淡麗な味わいのお酒になるようです。酵母は蔵付きの酵母。菅平水系の水で仕込んだお酒で、スペックは非公表となっています。

蛇の目に注ぐと酒色は透明で、香りは華やか過ぎないほどのフルーティな香りが。口に含むとフレッシュで、口の中でピリピリ、シュワッとガス感が。マイルドな甘さと爽やかな酸味。呑み込むと甘さを伴いながらキレてゆきました。なるほど淡麗な味わいの「ひとごこち」を、上手に肉付けして旨味たっぷりのお酒にした、杜氏の手腕に驚きつつ一升瓶は空になりました。

 今回のお酒のチョイスも驚きのお酒ばかり。値段を気にせずに頂いておりますが、居酒屋で呑んだらとんでもない金額になるのではと、気を揉んでおりますが、F君に感謝しながら頂きました。そして、一人当たり六合の、秋の夜長は静かに更けてゆきました。♪

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