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10月に入り、日中は暖かく朝晩は肌寒い今日この頃ですが、我が家の朝顔はまだまだ空色の花をたくさん付けており、朝顔から癒しを貰っています。
空色の朝顔 鉢植えもきれいで
さて、日本酒仲間のF君より「冷蔵庫に3年熟成させて置いたお酒があるのですが、味は保証しませんけれど必要であれば1本如何ですか」と声を掛けて頂きました。2本ある内の1本を融通してくれるとの事で、しかも銘柄は何と『新政瑠璃』です。以前、『十四代』の2年熟成を呑んだ時には、味には全く問題なく、『鳳凰美田 WINE CELL SPARKLING純米吟醸生』の2年熟成に至ってはまるでメロンジュースで驚いた事を思い出します。問題なしと結論付けて、『新政瑠璃(ラピス)生酛純米 別誂え直汲み2020』を1本分けて頂きました。ありがとうF君。
このお酒は秋田県秋田市で創業が幕末嘉永5年(1852)の新政酒造が醸しており、『新政』と云えば日本酒ランキングでは常に三本の指に入っているお酒です。米問屋だった佐藤卯兵衛が酒造りを始め、「うへい(卯兵衛)の酒」で親しまれたそうです。その後、明治政府が施策の大綱とした「新政厚徳」から『新政』としています。中興の祖である五代目が、昭和5年に蔵付き酵母だった協会六号酵母の抽出に成功し、第6番目の国家認定酵母と認定され、全国の酒蔵に頒布されました。また、その6号酵母で造ったお酒が美味しいと評判になり、秋田に『新政』有りと云われるようになりました。
新政酒造の再度の転機は平成19年。東大出身の御子息佐藤祐輔氏が酒蔵に入社し、蔵の改革に着手します。翌、平成20年には社員醸造に移行。同22年には原料米を秋田県産に限定。同24年には社長に就任し、全品を純米造りに。同26年には速醸酒母から決別し、生酛系酒母のみに限定した数少ない生酛純米蔵になりました。そして現在では、フレッシュで繊細な味わいを保つため、且つ、酸化に気を遣い、敢えて殆どのお酒を四合瓶で提供しています。
『新政瑠璃(ラピス)生酛純米 別誂え直汲み2020』の酒米は、酒造りに技術を要する酒造好適米の「美山錦」を、扁平精米という技法で、中心部の心白だけを扁平に磨いて使い醸し、雑味の無い味わいを実現しています。酵母は云わずと知れた蔵付きの6号酵母で、仕込み水は中硬水の秋田市新屋地区の伏流水を使って、木桶で醸しています。木桶かぁ~。ALCは6号酵母が最高のポテンシャルを発揮する13度の1回火入れのお酒に仕上げています。
紙衣に包まれ 新政の酒造り
別誂直汲み 紙衣を脱ぐと
裏書をどうぞ 酒色は透明
蛇の目に注ぐと、木桶の温もりを感じさせる香りが立ちあがります。酒色は透明で、微細なバブルが蛇の目の内側に付いています。香りを利くと柑橘系とは違うカラメルのような香り。高鳴る期待と共に口に含むと、爽やかで甘酸っぱいライチのようなジューシーな味わいで、舌に甘酸っぱい酸が刺さります。最後には仄かな渋味でキレました。この味わいのために、肴をほぼ食べずに味わい続けてしまいました。
実はこの『新政瑠璃』というお酒は、この2021で終売となり、もう買う事ができません。酒米の「美山錦」は、新政酒造が推進している無農薬栽培に適さない酒米だという事が分かり、亀の尾の血統を持つ「信交190号」(別名たかね錦)を改良した「改良信交」にシフトしています。新政酒造は「まあいいか」とか「仕方ないから」という有耶無耶を良しとせずに、キッパリと「ダメ!」と言える立派な酒蔵なのだぁと思った次第です。素晴らしい。
3年寝かせると
実は、のもう一つ。『新政瑠璃(ラピス)生酛純米
別誂え直汲み2020』の裏書に「一般的な冷蔵環境(10℃以下)で3年ほど寝かせることで、より完成度が向上するだろう」とありました。そうです、今、呑ませて頂いたお酒が、その3年目だったのです。どうりで美味しいはずだー‼。♪
\(。・_・。)ノ