2023年6月4日日曜日

五所川原のM氏の「退職祝い」で『飛鸞にこまる生酛無調整生酒』

いつも当ブログをご覧頂きまして、ありがとうございます。

私が在職中に大変お世話になった五所川原のM氏が、「無事是名馬」の例え通り目出度く定年となりました。現役時の手腕を買われ再雇用にはなりましたが、区切りとするべく「退職を祝う会」が催されました。

発起人はやはり我等の大黒柱鶴田町のN氏が音頭を取り、今回は五所川原市で開催かと思われましたが、遠路はるばると八戸に来て頂き、毎度お世話になっている六日町の「海ぼうず」さんに集合となりました。参加者は津軽から2名、県南3名の計5人。連絡調整や一次会二次会等の段取りはN氏をオヤジと慕う、八戸工業卒で面倒見の良いM大先輩が担当して下さり、私とT先輩は宴会に集中です。ありがとうございます。そしてお疲れ様でした。

何か準備があればと15分前に到着したのですが、主役は既に着座しており、気合の入り方に驚きます。時間前には全員が揃い乾杯ですが、日本酒は私だけであとは何と「生4つ!」。

私が乾杯酒に選んだのは長崎県平戸市の創業が明治28年の森酒造場が醸す『飛鸞にこまる生酛無調整生酒』です。酒名は平戸の島影が「鸞」の飛び立つ姿に似ていたことから「飛鸞島」と呼ばれていたことに由来します。主力酒は『菊の露』から『豊年』で杜氏も不在の50石程度の酒蔵でしたが、6代目が宮城県で酒造りの修行をして蔵に戻ると、設備の改修や衛生面の改善に着手しました。また日本古来の「生酛造り」に舵を切って、全てを地元の物で仕込むテロワールを取り入れ、メインブランドとして『飛鸞』を立ち上げました。IWCやKuraMasterの20212022では高い評価を受け、人気はうなぎ登りの勢いで、仕込みも250石となっています。

冷蔵庫の最上階 呑み放題の中段

吞み放題の下段 飛鸞にこまる

飛鸞にこまる生酛無調整生酒』の酒米は、麹米に「山田錦」で掛米が食用米の奨励品種「にこまる」です。食べるとあまりの美味しさにニコッと笑顔になるお米で「にこまる」と名付けられています。仕込み水には最教寺の麓から湧き出す硬度7の軟水で醸し、スペックは非公開としています。呑んだ感じでは日本酒度-5,酸度1.8位でしょうか。

グラスに注ぐと酒色はほぼ透明で、香りは柔らかな酸の香りが。口に含むと瑞々しくジューシーで、グレープフルーツのような柑橘系の酸味が口の中に広がります。『あべイエロー』を思わせる味わいに驚きを隠せませんでした。



千歳鶴きたしずく カンパ~イ

参加者の皆さんは2杯目の生ビールを飲み干すと、漸く日本酒に参戦です。冷蔵庫から取り出したのは、札幌市の日本清酒が醸す『千歳鶴純米吟醸きたしずく』で、創業が明治5年の柴田酒造店が前身の、札幌にある唯一の酒蔵です。お酒を造る6代目の杜氏は「濃厚製法」と名付けた三段仕込みの技法で醸す、釧路出身の女性杜氏です。

酒米は福北海道で2014年に誕生した酒造好適米「きたしずく」。大粒で心白の出現率が高く、且つ寒さに強いお米です。酵母は協会601号を使用して、市内を流れる豊平川の伏流水で醸した、日本酒度-4.5、酸度1.5の一回火入れのお酒です。

酒色は透明で、香りは仄かに酸の効いた香りが。口に含むと柔らかな口当りと仄かな甘さがあり、きれいな酸味とスッキリとした呑み口。呑み込む刹那には渋みが来てスッとキレる呑み応えのある味わいに、皆さんから「スッキリだ」「美味しい」と言って頂きましたよ。








天穏春の月

全員が日本酒モードに入り3本目には島根県出雲市で創業が明治四年の板倉酒造が醸す天穏 春の月微発泡純米吟醸にごり生原酒を頂きました。酒名は日蓮宗の経文の「無窮天穏」(天が穏やかならば窮することは無い)と云う、世界とその未来が平和であるようにとの願いから命名されています。酒造りは100年以上続く出雲杜氏による伝統的な技法「山陰吟醸造り」により、清らかで優しい味わいを造り続けています。

天穏 春の月微発泡純米吟醸にごり生原酒は実は『天穏純米吟醸馨』の生原酒に水酛の醪(もろみ)から濾した濁り部分を混ぜて、壜内二次発酵により微発泡を促したお酒です。何でもありだなぁ・・。酒米は島根県のオリジナル酒米、奥出雲産「縁(えにし)の舞」を60%に磨いて使っています。2018年に品種登録を出願し翌年に「縁の舞」に決定しました。母方に「山田錦」で父方は「01-66」というお米を掛け合わせた、収穫時期の早い早生品種でまろやかな味わいのお米です。酵母には9号酵母系の華やかな吟香の島根K1を使って、出雲北山山系からの伏流水(中硬水)で醸している日本酒度+5、酸度1.8のにごり酒です。

酒色は撹拌前だったのでやや透明ですが、滓を混ぜるとすっかり濁り酒。香りは甘さを感じさせるようなフルーティな香り。口に含むとキリッと辛口の中にも甘さと円やかさがあり、刺さらないほどの酸味を感じながら、呑み込むと苦味でキレました。

紫宙金色の風  Ganshu酔仙

市野屋氷筍仕込 開春にごり生

その後も『紫宙(しそら)純米無濾過生原酒金色の風』、『岩手県青年酸友会ganshu2023酔仙』、『市野屋純米吟醸原酒風さやか氷筍水仕込み』、『開春無濾過春のにごり生』等々を頂きながらお開きに。酒量がいつもより少なかったのは、参加された皆様方との懇親に時間を費やしたからで、楽しい一時はアッという間に過ぎていきました。今度は津軽での開催を提案し二次会の会場へと歩を進めた次第です。

私の思うM氏の素晴らしいところは、人を信用してくれるその人柄で、鶴田町のN氏の薫陶を受け継いでいるのでしょう。フランクでいても自身の考えはしっかり持っており、何を相談しても返事が直ぐに帰ってくるような方なので、私が現役の時には自由に遣り易く仕事をさせて頂きました。正直こんな人はあまり居なかったと思っています。そんなM氏の第二の人生に幸あれと願ってやみません。♪

(。・_・。)ノ