2021年6月28日月曜日

福島県浪江町についに復活『磐城壽』

 いつも当ブログをご覧頂きまして、ありがとうございます。

退職してからもうすぐ2ヶ月が経とうとしており、ぐうたらな暮らしにも慣れてきた今日この頃です。さて、今回ご紹介するお酒は、ウチの奥様の習字のお弟子さんから、私の退職祝いにと頂戴したもので、『』と云う縁起の良いラベルの文字が購入の決め手でしょうか。山形県長井市、福島県浪江町にある鈴木酒造店の『磐城壽』を頂戴しました。

この酒蔵は元々福島県浪江町にありましたが、10年前多くの酒蔵も被災した東日本大震災の津波により、建物、機器そして酒造りのデータなど跡形も無く消えてしまいました。NHKでは、この10年で酒蔵を復活させた鈴木酒造店の特集【福島 幻の銘酒 十年目の復活】を52日に放送しましたが、復活を懸けて五代目の蔵元である杜氏が奮闘。山形県で昭和初期に建てられその後廃業した酒蔵跡を借金で買い取り、始めは山形の米と水で『磐城壽』を醸していました。

目標としていたのは「浪江の米と水で酒を造る」こと。まず初期段階として浪江町から阿武隈高地が水源の水を長井市まで運んで、山形の米で仕込みをしましたが、浪江の田圃の土壌改良も進み、思ったように酒米が作れるようになったため、「道の駅なみえ」の2号棟内に酒蔵の建設を申請し、2020年秋に酒米の収穫、20213月に出荷と云う目標を立て、完成したのが福島県浪江町鈴木酒造店の『磐城壽ランドマーク【機関始動】おりがらみ生酒』という、気合、入魂、根性そんな言葉が似合うお酒でした。


 機関始動  裏書をどうぞ

薄濁りの酒  大吟醸と吟醸酒

酒米は浪江産「コシヒカリ」を扁平精米で55%まで磨いた純米吟醸で、酵母は福島県酵母のTM-1を使った、浪江町にこだわった復活酒です。

利き猪口に注ぐと滓で濁っていて蛇の目は薄らとしか見えません。香りは仄かに無濾過の生酒特有の香り。口に含むと舌がピリピリして、力強く重厚な滓がらみの旨味と、反比例するような甘さも。咽喉の奥に辛さと酸味、呑み込むと微かに苦みも感じます。スッキリとした口当たりで搾りたての旨味に杜氏の腕を感じました。

浪江町の酒蔵の完成は正月明けと云う事で工事に着手しましたが、コロナ禍で工事が大幅に遅れ、精米所が先ず2月に完成。醸造所は3月というので待っていられずに、2月には精米して取敢えず長井市で仕込み。3月に発酵中のタンクをトラックで浪江町に運搬し、完成したばかりの酒蔵で搾って出来上がったお酒です。ラベルは杜氏の顔になっており、明るい未来を見据えているように感じます。「一念岩をも通す」を地で行くお話です。

実はこの『磐城壽』ですが、お二人のお弟子さんから頂戴しており、今回は『磐城壽ランドマーク【機関始動】おりがらみ生酒』でしたが、もう1本の『磐城壽純米大吟醸山廃仕込み山田錦45』も何れご紹介致します。♪

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