2023年10月16日月曜日

N常務宅で蕎麦と『黒龍 大吟醸 龍』

いつも当ブログをご覧頂きまして、ありがとうございます。

会社員だった時分、大変お世話になった建設会社のN常務のお宅で、時々お酒を御一緒させて頂いております。彼の親友で日本酒クラブの会員だったH氏と、不肖柳町の二人が先日もお誘いを頂戴し、放たれた矢の如くご自宅に伺わせて頂きました。

乾杯はH氏が前触れも無く取り出した大きな化粧箱の『黒龍 大吟醸 龍で、その物々しさに圧倒され、私の目は釘付けです。あまりにも有名なこの『黒龍』は、福井県吉田郡永平寺町で創業1804年の黒龍酒造が醸しており、創業者は初代蔵元の石田屋仁左衛門です。現天皇陛下のお気に入りのお酒が黒龍石田屋と云われ、それが下々に伝わったために品薄で、何年も先まで予約が取れないと云われた時期もありました。

また、黒龍酒造の七代目はフランスに渡ってワインを学び、帰国後にワイン熟成を日本酒に応用した酒造りができないかと、試行錯誤した研究熱心な人でした。それが1975年に全国に先駆けて高精米を大吟醸酒と表現し、少量で高品質のお酒、いわゆる高級酒となっています。

黒龍と化粧箱  酒色は透明



裏書をどうぞ  パラダイスだー

黒龍 大吟醸 龍』の酒米は、兵庫県産山田錦を40%まで削った大吟醸。酵母は蔵に古くから棲み付く蔵内酵母で、霊峰白山山系からの軟水の九頭竜川伏流水を使い、日本酒度+3,酸度0.9ALC16%に仕上げた、醸造アルコール添加で一回火入れのお酒です。グラスに注ぐと酒色は透明で、香りは仄かですが、爽やかでフルーティさを伴っています。期待を持って口に含むと、甘さは控えめに酸味も軽やかな淡麗やや辛口。スッキリとした呑み口で、舌にはピリ感はありません。キレも良く、バランスの良い味わいにさすがだなぁ『黒龍』と思いました。

続いてはN常務が自らの足を使って買い求めた、宮城県石巻市の平孝酒造が醸す日高見 天竺純米吟醸愛山です。わーい!愛山大好き!。酒蔵の創業は幕末の文久元年(1861)で、盛岡の菊の司酒造から分家し、北上川の河口の港町、石巻で酒造りを始めました。酒名は北上川に由来しており、当地は日本書紀の中で太陽の恵みを受ける国「日高見国」と称され、その中央を流れる川「日高見川」が後の北上川となったそうです。また、東日本大震災では大きな被害を受けましたが、その後2年で酒造設備を整備し、完全復興した現在では30代の若い蔵人を中心に酒造りを行っています。








日高見天竺

日高見 天竺純米吟醸愛山』の酒米は、生産量が少なく希少なため酒米の宝石とも云われる、兵庫県産「愛山」を50%まで磨いています。また酵母はリンゴの果実のような華やかな香りをつくる宮城酵母を使い、牡鹿半島の伏流水で醸しています。日本酒度+1、酸度1.3ALC16%で1回火入れの実質大吟醸酒です。

グラスに注ぐと酒色は透明で、香りは果実のように華やかな吟醸香。口に含むと、愛山らしい甘旨味と優しい酸味、仄かな辛さとバランスが良く、キレも抜群で心地よい余韻に浸りました。愛山の美味しさに呑んで直ぐもう一杯注いでもらった次第です。

さて、いよいよ本日のメインの登場です。それはN常務が通販で購入してくれた醸し人九平次純米大吟醸雄町SAUVAGEと『醸し人九平次純米大吟醸山田錦EAU DU DESIR』でした。昨年の日本酒ランキングの愛知県版では『二兎』に次いで第二位のお酒で、醸しているのは創業が寛政元年(1789)の萬乗醸造です。蔵主の名前は代々世襲制で「九平治」を名乗りますが15代目の若き九平治が、同級生を杜氏に抜擢し平成9年に立ち上げたブランドで、その後、フランスのミシュランガイド認定三ツ星レストランのワインリストにも載るような日本酒に急成長させています。

九平次雄町  裏書をどうぞ

まず『醸し人九平次純米大吟醸雄町SAUVAGE』から頂戴します。『SAUVAGE』は「野生」と云う意味ですが、酒米の岡山県産赤磐雄町は古くからの品種の一つで、在来の野生の米を祖に持つところから名付けられました。その赤磐雄町を50%まで磨き、酵母には協会14号、仕込み水はタンクローリーで長野県の県境まで行って汲み上げた、ミネラル豊富な水を使い醸しています。スペックは非公開ですがALC16%のお酒です。

グラスに注ぐと酒色は透明で、香りは少な目ですが爽やかな吟醸香が立ち上ります。口に含むと甘さはそれ程でもなく、淡麗で辛さもあり、酸味、渋味も感じます。しかし不思議なことにバランスが良く、雄町の野性味たっぷりの旨味がしっかり感じられ、さすが『醸し人九平次』と唸った次第です。



九平次山田錦 裏書をどうぞ

いよいよ最後が『醸し人九平次純米大吟醸山田錦EAU DU DESIR』で、『EAU DU DESIR』は「希望の水」と訳せます。このお酒を口にしたとき、希望というエネルギーを感じてほしいとの願いが込められています。酒米は絶対王者の山田錦を50%まで磨いて使い、酵母は酸度が少なく香気の高い協会9号で醸しています。

グラスに注ぐとこちらも酒色は透明で、香りは華やかで果実のような吟醸香です。口に含むと甘さもあり、苦味や渋味は無くエレガントな山田錦の旨味をしっかり感じました。また、呑む順番も大正解だったと思います。

N常務が自ら調理された美味しいお料理を頂きながらのお酒は、心に染み入るように効きました。最後は私の持参した気合の入った手打ちの蕎麦を、奥様に手際よく茹でてもらい皆さんと頂きました。美味しいと言って頂いたのですが、北海道の蕎麦の名産地、幌加内産の蕎麦粉なのでその通りでしょう。午後4時から始まった和気藹々とした楽しい時間もあっという間に過ぎてしまいました。♪

(。・_・。)ノ